どこまでも歩ける靴を探して

11月の後半の連休、自宅の近くでやっていた須賀敦子の世界展を見に行ってきた。

20141122yt.jpg

横浜の観光地とはいえ一歩奥まった場所にある文学館に、午前中から結構な人、人、人。狭い会場に100人近く入っている。須賀敦子は一般的に人気作家というわけではないので、この混み方は意外だった。訪問者の中心は私たちの世代かそれより前の世代たが、若い人の姿も見かけた。

須賀敦子にひかれる理由は何なのか自分自身でもわからない。私が読んでいたのは須賀敦子の自伝的要素の強い随筆ばかりであり、特段面白いと感じているわけでもない。それなのになぜ?足りぬ頭で少し考えてみた。

カトリック左派、シモーヌ・ヴェーユ、M.ユルスナール、M.デュラス、ノーマッド、靴、フランス、修道女、ベネチア、ミラノ、トリエステなどイタリアの町々・・・。彼女が繰り出してくるキーワードのいくつかが自分の若いころに興味を持ったものに重なる。当時の日本では珍しい西洋の文化・文学を理解できる知識階層に属し、わかるものにしかわからないインテリジェンスを持っていることを強く意識していた須賀敦子。凡庸な一個人の私は、彼女の知性に憧れ、バックボーンに惹かれ、彼女が書いたものになんとなく触れたくなるのだろう。

「きっちり足にあった靴さえあれば、じぶんはどこまでも歩いていけるはずだ。そう心のどこかで思いつづけ、完璧な靴に出会わなかった不幸をかこちながら、私はこれまで、生きてきたような気がする。」(須賀敦子)

足に合った靴さえあれば、どこにまででも歩けるはずという彼女の言葉。彼女をもってしても見つからなかったもの。

それがあればきっと先にすすめるにちがいない、自分に合った何かを探せたら、人生はどのように展開したのだろうか。探し求めて彷徨った青春時代はいつの間にか終わり、今は雑事に忙殺されて、何も見つからなかったことも忘れてしまっている。そんな毎日の中で、須賀敦子の世界展が私のアンテナに引っかかったのは、私も心のどこかでまだ足に合った靴を探し続けているからかもしれない。

2014/11/23(日) | 本の周辺 | トラックバック(0) | コメント(2)

«  |  HOME  |  »

hashsh

『No title』

すずちゃん、温かそうなお洋服着てるね~
須賀敦子さんという作家は、初めて知りました。
心に響くような言葉を紡ぎ出す方だったんですね。

2014/12/17(水) 20:44:05 | URL | [ 編集]

夫婦ともかっぱ

『hashshさま』

すずの服も、さすがに古くなりました。ケープもあったのですがどこかに行ってしまいました。ちいさなベアのぬいぐるみ用の市販品で、サイズがすずにあっていたので丁度よかったのですが、最近はも売られていないようで見かけません。残念です。

2014/12/17(水) 22:22:28 | URL | [ 編集]

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURL
http://kapparismk.blog83.fc2.com/tb.php/731-ca03f621
 |  HOME  |